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評価:
iBasso Audio
¥ 88,000
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iBasso Audio HDP-R10 レビュー です。
久々の大物を予約して買いました、だいぶ前にAmazonから到着したのですが、試聴などいろいろしていたところ、エントリが遅れました。
今回は HDP-R10 レビュー (主に音質面編)として操作編はまた別のエントリに書きたいと思います。
まず、この製品はOSがAndoroidで、そのプレイヤーにポータブルアンプを付けたと思っていただければ分かると思います。
この製品の厚みはiPhone4を3段重ねたぐらいの厚みはありますが、それほど重くはないです。
今までのポータブルプレイヤーと全く違う点は、「ポータブルオーディオへのアプローチ方法」
につきると思います。今までは「小さく作るためにはどうするか?何を使うか?」ですが iBasso Audio HDP-R10の場合「最高のパーツを使って小さくするためにはどうするか?」の違いでアプローチが全く異なります。
どのぐらい高音質なパーツを使っているか部品(IC)を見ていきましょう。
DACには、ESS Technology社製の「ES9018」を搭載しているのでが、勉強不足でこのチップは初めて知りました。Digikeyで調べても出てこないので、チップ名で検索すると「ES9018」で自作DACを作っている方がいたので、その内容を見てみると、個人が買うには最低10個単位で単価が¥6000となっていました。もちろん iBasso Audio HDP-R10は1000個以上のオーダーでしょうから、価格は下がるはずですが、自作DACを作っている方のWEBを見てみると、複雑なチップだと言うことが分かります。ピン数も多いし。
で、このチップI2S対応です。先日エントリしたJavs X-DDCで使われている形式で、音楽信号とクロック信号を分けて送ります。
オペアンプには、バーブラウンの「OPA627」を。Digikeyで1000個オーダーで、¥1400前後。さらにハイインピーダンスのイヤフォン・ヘッドフォンのためバッファアンプ「BUF634」2500オーダーで、¥340前後が投資されています。
各種端子類も充実しており、それは別のエントリで書こうと思っていますが、ポータブルプレイヤーに必要か? というぐらい端子があります。なお、イヤフォンジャックは標準プラグとミニプラグが刺さる様に2個用意されています。(これは大歓迎!!!)
では前置きが長くなりましたが、試聴を行いたいと思います。
iBasso Audio HDP-R10 で圧縮音源を聴くのはもったいないので、CDをFLAC化して、また、 iBasso Audio HDP-R10はDSD(DSF)に対応しているのでDSD(DSF)を保存しました。あとは192kHzネイティブ音源もメモリに格納。
ちなみに、64GB のマイクロSDにも対応していて(製品説明では32GBとなっているが)NTFSでフォーマットしたら無事認識しました。
それほど多く音源が用意できなかったので、試聴曲は限られますがご容赦。
イヤフォンは個人的に最高だと思っている、audio-technica ATH-CKM1000とMDR-CD900STで行います。
ファーストインプレッションは「もはやポータブルプレイヤーの次元ではない」
という感想です。
早速課題曲を試聴してみます。
1.m-flo Loves YOSHIKA Let go
とても繊細。かといって芯がないわけではなく、どっしりした芯のある音です。
重心はちょうど良いぐらいの感じです、ストリングス、ピアノはもちろん、効果音もしっかり聞こえます。YOSHIKAの声は、口の動きが手にとるように分かり、輪郭がはっきりしているので、開き具合もきっちり分かる。
FLACで取り込んでいるので、情報の欠落がないのは当然だが、iPodでロスレスを聴いたときなんかと一線を画す音質。
緻密で、シルキータッチ、スカッと伸びる高音。芯のある低音。
どれをとっても、ポータブプレイヤーの域を超えています。
情報量が多いので、もしかしたらポータブルプレイヤーで聴いていた人には、いっぱい音が入っていて疲れる方もいるかもしれませんが、CDの中に入っている音がストレートに出てきます。まあ、値段からして、オーディオマニアしか買わないでしょうから、この情報量の多さは歓迎すべき点でしょう。
結論を言ってしますと「完璧!」です。
圧縮音源を使ったり買ったりするのが、馬鹿馬鹿しくなります。
2.C+C Music Factory Do You Want To Get Funky
10年以上前の音源ですが、レンジは広く感じます。
低音はゴリゴリでて、ボーカルも力強い。以前他のプレイヤーで聴いたときは薄口なイメージがあったが、HDP-R10では厚みがあり、別の曲の様に聞こえる。
3.SOUL’d OUT TOKYO通信〜Urbs Communication〜
音数が多い。情報の欠落がないのは当然のことだが、
芯があり、低域も充実。効果音もしっかり聞こえる。こんな音だったんだ! と気づかされる点が多数ある。ブレイクした後の立ち上がりが早い。
パツーンとインパクトのある音が出る。オペアンプのデータシートは見ていないが、スルーレートが高いのかな? と思わせる感じ。
疾走感、スピード感を感じる。かといって焦って音を出しているわけではなく、余裕を感じる。
ただし、SOUL’d OUTの曲は音数が多いので、圧縮音源に慣れた人では忙しく感じるかもしれない。
音楽と対峙する覚悟が必要だ。HDP-R10の音は情報量が多いので、真剣に聴くことが聴く側に要求されていると思う。HDP-R10の音は妥協が無いので、こちら側も妥協してはいけないと思わせる。
4.
Diana King SHY GUY
古い音源だが、MDR-CD900STで聴くとすごいことになる。
抜けが良く、すごく綺麗に鳴る。昔流行った曲だが、クリアな音が素晴らしい。
ノリも良く、昔聴いた曲が新鮮に聞こえる。
このクリアさは特筆すべきで、特に静寂と高域の繊細さが光る。
表現が難しいのだが、CDの音質を上回る、ハイレゾ音源の様な感じさえ受ける。
ではここからハイレゾ音源とDSD(DSF)を聴いてみたいと思う。
5.Modan Jazz Quintet The Last Concert
192KHz ネイティブの音源です。
Summertime をチョイス。ライブ音源です。
CDとはまた全然違う。音の緻密さが表現されていて、別次元。
古い音源なので、ホワイトノイズも多いが、それよりも音のきめ細やかさが特筆すべき点で、ジャズバーにいる感じの感覚すら受ける。
といっても確かこれはホール演奏だったと思うが(曖昧)
192KHz対応のポータブルプレイヤーなんてそうはないので、ハイレゾ音源が豊富になれば、HDP-R10の真価より発揮されるのではないか?
特にクラシックやジャズは電子楽器ではないので、ハイレゾ音源が好ましい。
逆に言うと、POPSなどは打ち込みが多いので、ハイレゾは必要ないかな? とは思うが、ハイレゾ音源のPOPSを聴いたことがないので何ともいえないですが・・・
5.ドヴォルザーク 「新世界」より
DSD(DSF)音源です。
第4楽章を聴きます。
ありえない・・・もちろん悪い意味ではなく、すごいという意味です。
スケール感、音場の広さ、繊細さ、緻密さ、AudioGateから聴くよりもいい音がする!
静寂からフォルテッシモに移行するときは鳥肌が立ちそうになる。
音の分離も良いが、曲の全体としての雰囲気が素晴らしい。
調和のとれた美しい音が魅力的。
バランスがすごく良いので、聞き惚れる。
元の音が良いのは当たり前だが、そのポテンシャルを最大限に引き出している。
たとえばホルン(?)が鳴っている箇所とかを聴くと荒さが全くない。
DSD(DSF)が聴けるポータブルプレイヤーは他に聞いたことがないので、HDP-R10はこれだけでも価値があるかも知れない。もっともDSD(DSF)音源があまり出回っていないところはネックだが。
他の章も聴いているが、現在のところ非の打ち所が全くない。
素晴らしいの一言。
<総評>
今回は音質面のレビューをしたが、値段相応もしくは値段を超える音が聞ける。
もちろん、FLACにしたりDSD(DSF)やハイレゾ音源を用意する人は、ごく少数のオーディオマニアで、しかもPCに精通している人に限られるわけだが、オーディオファイルの方々は買って損はない。
iPodなどに比べると、敷居はかなり高いのだが、その分得られる価値はとてつもなく大きい。
あと、結構どんなイヤフォン、ヘッドフォンでもかなり高音質で聴けるのだが、最終的に出力される、イヤフォン、ヘッドフォンは最高のモノを選ぶべきである。
もちろん HDP-R10 はそういうのを前提としているのでイヤフォンは付属しない。
PCにある程度精通しているオーディオファイルは買わないと損といえる。
ただし、この分厚い筐体を持ち歩くのは結構大変なのだが。(笑
ソフトウェア関連では課題事項はあるが、音質はポータブルプレイヤーとして至高の逸品なので、評価は☆5以上である。
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